パズル問題自動生成時代 -- 概論
日本はパズルの超先進国
頭脳遊び
パズルを非常に広くとらえ、さまざまな頭脳遊びについて考えてみよう。そうした場合、日本には実に多数の頭脳遊びが存在する。代表的なものの一部を以下に紹介する。
折り紙
折り紙は、とくに世界に誇れる日本文化であり、日本人の指先の器用さもあって、高度に発達した。既に、江戸時代に、極めて優れた折り紙の解説書が出ている。また、多くの日本人が、鶴くらいは折れる。
正方形の紙で、切れ目も一切入れずに、写真のような蟹を折ることができる。ちゃんとしたツメや脚もある。どうやったらここまでできるかは、もう十分パズルだ。
折り紙は、たんに遊びとしてではなく、容器などにも応用できるし、宇宙開発では、うまく折り畳んで宇宙まで運び、そこで広げて使う太陽電池とか、幅広い応用分野がある。紙に関連するさまざまな応用を考えたとき、折り紙はその中核をなす中核技術でもある。
最近は、折り紙関連の研究に国も支援するようになり、やっと気がつきだしたようだ。折り紙の応用は、日本が先頭を走れる研究開発分野に間違いない。
あやとり
あやとりも、日本で盛んである。昔程はやっていないようだが、1本の紐で様々な形ができ上がるのも、非常にパズル的だ。これぞ日本の伝統的遊びだと思っている人も多いかも知れないが、実は、エスキモーやパプア・ニューギニアでも非常に盛んであり、非常に高度に発達している。
あやとりは、数学のトポロジーという分野であり、数学的立場からの研究はずいぶんされている。
ただの遊びと思われている分野が、数学の重要な分野であることはよくあることだ。
囲碁、将棋
チェスのプログラムが世界チャンピオンを負かして話題になったが、もう随分前の話になる。当時は特別なコンピュータを用意したが、コンピュータの性能は飛躍的に向上しているので、今ならパソコンでも世界チャンピオンに勝てるかも知れない。
ということで、もうチェスは研究としては面白味がなくなり、今は将棋や囲碁のプログラムが盛んになっている。将棋プログラムは、そろそろプロを負かすレベルになっており、 201X年にはプログラムが日本選手権者になるのではと期待している。
しかし、囲碁はまだ非常に弱い。私だって勝ってしまう。将棋に比べると、はるかに複雑で、コンピュータに考えさせるには難しい。しかし、人間の頭脳は、深く読むところは読み、バランス感覚などを駆使し、相当効率的に考えるようだ。囲碁が人間のプロ棋士並の強さになるのがいつ頃かはまだ定かではない。
なお、囲碁は、以前は日本が強かったが、最近は韓国、中国が随分強くなってきた。そのうち、中国の独壇場になりそうな勢いだ。元々中国から伝わってきたものだし、中国の圧倒的人口を考えると、やむをえない。
この分野は、人工知能という名目で随分研究されている。なかなか難しく、人間の方が有能な間は面白い研究分野であろう。
ペンシルパズル
紙、鉛筆、消しゴムで遊ぶようなパズルについて考えてみよう。要するに、ナンプレのちょっと遠い親戚と言えるようなパズル達である。
クロスワード
クロスワードパズルは誰もが知っているが、意外と歴史が浅い。 Wikipediaによると、 1913年12月21日に「ニューヨークワールド」紙にイギリス生まれの記者アーサー・ウィンが制作したとあり、さらに異説もあるとのことだ。
日本では、大正時代に非常に流行したらしい。しかし、それ以降は大きな流行はまったくなく、今に至るまで同じようなレベルで遊ばれているようだ。
日本では、クロスワードの様々な変型が発達した。元々は1つのマスに1つのカタカナを入れるようになっていたが、漢字だけ行なうのもある。
また、縦、横のヒントを無くしてしまったバージョンもある。同じ文字(カタカナ)の入る場所に同じ数字が小さく書いてあって、その入り工合だけから推測していく。
その他にも様々なバージョンがあるだろうが、省略する。何か、日本人は、細かいバリエーションをつけるのが好きな気がする。
覆面算、虫食算
江戸時代には既にあったようだが、第2次世界大戦の少し前から流行し、戦後もしばらくは流行があったようだが、最近はあまり顧みられなくなったようだ。計算能力の低下の影響かどうかはよく分からない。
頑張った虫食算としては、総てを□にしてしまったものもある。
覆面算では、意味のある情報になるように頑張るので、そういう見かけが重視され過ぎるきらいがある。代表的な例としては、
SEND + MORE = MONEY
がある。
昔は、覆面算、虫食算の本が色々あったが、最近はほとんど本を見かけなくなった。
品質改善
日本のペンシルパズルの特に優れている点は、品質改善(カイゼン)である。
パズルそのものは、全世界で色々考案されている。 といっても、考案が得意な国と、そうでない国があるようだ。
東欧のハンガリーが、パズルではなかなか優秀だ。 パズルに限らず、数学でも、コンピュータでも昔から有名である。 技術的に難しいプログラムをハンガリーに発注することは 昔からよく行なわれている。
日本は、パズルの考案もあるのだが、もっとも優れているのは問題の品質向上だ。 ナンプレも、日本にやってきてから品質が急激に良くなった。 日本人は、どうも、これでもか、これでもかと 工夫を凝らした問題を作るパズル作家が多い。
また、遊ぶ方も、さまざまな工夫がされていないと、満足しないようだ。 解けた、解けないを言うのは初心者で、まだパズルが分かっていないとみなされる。
パズルの解き味を言うようになって、やっと一人前のパズル遊び人になれる。 解けるかどうかではなく、解いて面白くないと満足しない訳だ。 面白い、面白くないというのは非常に感覚的な部分が多く、 そんなこと分かるのかと疑う人もいるが、 一定レベル以上のレベルに達すると、ある程度の共通認識はある。
ナンプレを通してパズルのレベルが上昇した日本は、 他のパズルについても当然同様の高い品質を求めるようになった。
クロスサム(足し算クロス、加算クロス、カックロ)も、 ナンプレと同じくDELLマガジン社の 雑誌に載っていたものが日本に持ちこまれ、日本で大いに改善されたものである。 見た目の美しさが重視され、また様々な解法が研究され、 問題作りにも取り入れられた。
海外から導入されたもの、国内で考案されたもの、いずれについても 美しさ、面白さ、奥の深さ、幅広い難易度など、 総合的な改善が日本では行なわれる。
日本人は、とにかく改善が非常に得意だ。 日本人の細かいことにこだわるところが生きてくる。 そして、パズルは改善を行なうと、効果がはっきり出る。 効果が出ると、さらにパズラーは熱心に改善を続けることになり、 この循環が際限なく行なわれる。
あまりにも際限なくカイゼンが行なわれ、 パズル好きの人間が寝食を忘れてパズルにはまってしまう訳である。 どんどん精製すると良い麻薬ができるように、 パズルも改善することで、中毒性が増す。